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[44]裏話−ツール・ドおきなわ編(2009/12/01 11:23:40)
今回は、学校現場とは全く関係のない裏話を紹介してみたいと思います。
皆さんは、『ツール・ドおきなわ』を知っていますか?
毎年11月に名護市を中心に開催されている自転車ロードレース大会です。
沖縄本島を1泊2日で走破する本島一周サイクリングをはじめ、
国外招待チームやトップレーサーたちも参加する国際ロードレースUCI公認の大会なんです。
実は僕、去年と今年2年連続でツール・ドおきなわの補助役員をやりました。
なので僕は、ツール・ドおきなわの舞台裏を知っているんですねぇ。
僕の職場には、自転車専門部のエライ先生が勤務しています。
職場の飲み会で、その先生からツール・ドおきなわの仕事(ボランティア)をやってみないかと言われました。
僕は少し興味があったので、軽い気持ちで引き受けてしまったのが事の始まりでした。
大会の開始時刻が早朝のため、審判などの役員は前日からホテルに泊まり込んで、当日の仕事に備えます。
指定されたホテルは『沖縄で一番青空に近い宿』と呼ばれる、ホテル タニュー。
山のてっぺんにあるホテルで、ホテル以外は何もない所に建っていました。
20:00 ホテルでの役員会議が始まりました。
しかし、話していることが専門的すぎて意味がわかりません。
とにかく、僕は「ドライバー」と呼ばれる仕事をするってことだけ理解できました。
仕事内容は、助手席に座っている審判員の指示に従って車を運転することです。
会議が終わると、僕は明日に備えすぐに就寝しました。
ところが少し眠ったかと思うと、すぐに目が覚めてしまいました。
部屋の電気を誰かがつけたからです。
時計をみると午前4時。
みんな続々と起床して朝食へと向かっています。
外を見ると暗かったですが、かなり強い雨が降っているのが分かりました。
「最悪な天候だな。」
こんな日は自転車からの落車が多いと聞いていました。
6:50 競技開始時刻になりました。
いよいよ僕の出番が来たって感じです。
僕が担当するのは市民200kmと呼ばれるレースでした。
200kmって、予想以上に長いんですよ!
ゴールしたときには12:00を余裕で超えてましたから。
僕は車に乗り込んで、交通規制された道路に車を出しました。
自転車以外は何も走っていません。
なかなか気分が良かったです。
対向車線を堂々と走ったり、白バイを平気で追い越したり、
普段はなかなかできないことをやりましたよ。爽快!
しばらく間、僕は時速30〜40kmくらいのスピードで自転車の後をついて行きました。
「この速度でただ後をついて行くだけの仕事なら、チョロいな〜」
と思いましたが、その後、それはとんでもない間違いだとわかりました。
自転車レースというのは集団で走るものらしいです。
僕はすぐに集団がばらけていくと思っていましたが、ずーっと集団で走っていました。
それは、自転車競技はいかに空気抵抗をなくすかがカギだから。
つまり、誰かの後ろにつけば風の抵抗を受けなくてすむのです。
前にいる人の半分くらいしか疲れない、そういう感覚だと出場している人が言っていました。
単独で走ると凄く疲れるそうです。
次第に集団についていけなくなる選手が出てきます。
そういう選手をかわしながら、僕は集団について行きました。
そして、その時が来たのです!!
隣に座っている先生(審判員)から指令が来ました。
「あの集団を全部追い越せ!」
「ええ〜!?」
と僕は思いました。
集団はかなりの人数で道路いっぱいに選手が溢れています。
何百人もの集団ですから。
それを追い越すには、選手がもっと左によって、
車が通れるスペースを空けてもらわないと…
自転車に接触してしまいますよ…
僕が躊躇していると、先生が
「とにかく、集団の中につっこめ!」
と叫びました。
僕は半分やけくそになって、少しずつ集団に車を近づけました。
すると、先生が助手席から手を伸ばし、車のクラクションを鳴らし始めたではありませんか!
パッパー!
クラクション鳴らしまくり!!
「オラオラ、退け退けー!」
って感じです。
更に拡声器を使って
「もっと左側に寄ってー!」
と叫び始めました。
選手からは「うるせー!」などと不満の声が聞こえてきます。
それに対し、先生は
「文句を言う前に、さっさと左に寄る!」
と怒鳴り返しています。
そんなふうに強引にスペースをつくって、一気に集団を抜きにかかりました。
しかし、その瞬間に自転車から落車されたら、きっと僕はひいてしまう。
「頼むから、落車だけはするなよ〜」
と祈りながら集団を追い抜きました。
「怖ぇ〜!」
こんなにこの仕事が怖いものだとは思いませんでした。
一気に緊張感が高まってきます。
今度はトンネルが見えてきました。
と、その時、突然、前を走っていた自転車の集団の速度が遅くなりました。
「やべー、ひいてしまう!」
僕はとっさにブレーキを踏みました。
誰かが落車したらしく、そのせいで将棋倒しにみんなパタパタと倒れています。
倒れている選手の一人が
「アバラー!」
と叫んでいました。
どうやら肋を骨折したと訴えてるらしい。
「おいおい、骨折って…大丈夫?」
と思いましたが、僕たちは集団について行かないといけないので、止まるわけにはいきません。
赤い旗を窓から振って、後ろの救護車に落車を通知、
無線を使い本部へ救急車を要請しました。
そして、そのまま自転車を追い続けます。
今度は下り坂です!
とんでもなく急斜面の下りがでてきました。
事前に、
「下りではスピードを一定に保て」
と言われていたので緊張しました。
時速60kmぐらいで坂を下るので結構きつい。
それに雨が降っているからスリップしないか心配です。
その時、後ろから何かが猛スピードで近づいてきました。
自転車です!
「マジか〜? いったい何kmでてんだー!」
どうみても80km以上はでています。
もしかしたら100km出てるかも。
僕はたくさんの自転車に追い抜かれました。
ここで僕が急ブレーキでも踏んだら、自転車は車に追突して大惨事になる。
「ブレーキ踏むな!」
と言われましたが、怖すぎます。
選手たちは怖くないのか。
一歩間違ったらあの世行きだぞ。ホントに命知らずです。
そういうのを繰り返して何とか200kmを走り終えました。
運転中ずっと緊張していたせいで運転時間は5時間以上でしたが、思ったよりずっと短く感じましたよ。
肉体的より精神的に疲れましたね。
もう2度とやらないと思いましたが、またやることになるとは…
その時の僕には知るよしもありませんでした。
コメント
□ 学校事務職員の中にも、ツール・ドおきなわに出場した人を何名か知っています。凄すぎます。
ドライバーをやってみたい人は連絡ください。人手不足なので歓迎されますよ。(Shogo.A 2009/12/01 08:52:00)
□ 裏話には参加したこたがないけど、ローカルな話題に惹かれました。
私も事務職員にもなっていない若かりし頃、市役所にいる先輩にお願いされ現ホテルタニューで会議に出席しました。私は翌日、早朝に集合したにもかかわらず、スタート直前にドライバーが足りているので君はいいよと言われ、寂しくスタート地点で見送りました。しかし、知人からShogo.Aさんと同じ内容の恐怖のドライブが続いたこと聞いてやらなくて良かったと思いました。
内容のわからない仕事を安易に引き受けるのはやめましょう!(名護ンチュ 2009/12/01 11:11:31)
□ 名護ンチュさんへ
運が良かったですね。ドライバーをやらずに済んだとは。
今年はやるつもりなかったんですが、人手不足だと泣きつかれて…
こういうボランティアの人達のおかげで成り立っていたんですね。(Shogo.A 2009/12/01 11:34:41)
□ ツールドの話は聞いてましたが、ドラバーもすっごい過酷なんですねぇ。自分も一度誘われたことありますけど、やらないで良かったです。それより、ツールドは参加した方が楽しいですよ。サイクリングコースもたくさんあるので、是非、みなさんも地球温暖化防止につながる自転車を始めてみては・・・。
痩せるし、健康的だし、ガソリンかからないし、二酸化炭素は自分がはく息のみです。体が動くうちに挑戦しましょう。(地球防衛軍 2009/12/01 11:48:37)
□ 地球防衛軍さんへ
そうですね。サイクリングくらいなら楽しめるかも。
レース部門は…とても挑戦する気になりませんよ。
レースに出るくらいなら、車を運転します。
環境破壊もなんのその。(Shogo.A 2009/12/01 12:45:52)
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